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Presentsの意味

今回は POWER OF ATTORNEY(委任状)ほか、法律文書でよく見られる独特な言い回しについてです。

この種の文書は次のような枕詞で始まります。

TO ALL TO WHOM THESE PRESENTS SHALL COME, I,…….SEND GREETINGS:
(意味は「本文書をご覧になる方々へ」といった感じです)

“these presents”(複数で使用)には、法律用語で「本文書」という意味があります。

また “come”の使い方も面白く、「本文書が来る方々へ」と表現しています。

日本語なら「本文書を受け取る方々へ」
“TO ALL WHO SHALL RECEIVE THESE PRESENTS” と書くのが自然ですが、

TO ALL TO WHOM THESE PRESENTS SHALL COME と書かれています。

この方がPRESENT(=本文書)が主体となっていて重要であるように聞こえるのでしょうか。

さて次ですが、枕詞の後には “WHEREAS”で始まる背景説明が来て、その後にやっと「委任する相手」が指名されます。

NOW KNOW YE ALL (MEN) AND THESE PRESENTS WITNESSETH that I/We do hereby nominate, constitute and appoint…

硬く訳せば「以下を汝らに知らせる、本文書によりここに〇〇〇〇を指名・任命する」といった感じでしょうか。

普通に言えばBe informed by this document that…で済むところです。
しかしBe informed, Be it known といった受動態は弱いので、特にlegal textでは能動態を使うことにより意味を強めるのだそうです。

委任状にこんなに強い表現を使うのは何故なのか興味のある所ですが、common law(英米法)の国ではこの形式が今でも使われているようです。

因みにアメリカ独立戦争の終結時に13州が合意したArticle of Confederation (連合規約 1781年)は 、以下のような書き出しで始まっています。

TO ALL TO WHOM THESE PRESENTS SHALL COME, we the undersigned delegates of the states affixed to our names,…….SEND GREETINGS

連合規約は言わば憲法のようなものであり、「世界に向けてお知らせする」という表現は当時としては尤もな気がします。

それにしても、230年も前(日本では江戸時代)の表現が未だに使われているのはすごいです。
契約書の堅苦しく古い文体を非効率的だと反対する人と、「古めかしさ」を愛する人との間に色々な議論があるようで、これも興味深い所です。

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